大判例

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最高裁判所第二小法廷 平成9年(オ)1249号 判決

横浜市旭区柏町五八-一番地

上告人

河野禮通

被上告人

右代表者法務大臣

下稲葉耕吉

右指定代理人

深井剛良

横浜市旭区二俣川一丁目二番地一

ライオンズステーションプラザ二俣川三〇二号

被上告人

渡部芳雄

右当事者間の東京高等裁判所平成八年(ネ)第五三六一号損害賠償請求事件について、同裁判所が平成九年三月一九日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、違憲をいう点を含め、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立って原判決の法令違背をいうに帰するものであって、採用することができない。

よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大西勝也 裁判官 根岸重治 裁判官 河合伸一 裁判官 福田博)

(平成九年(オ)第一二四九号 上告人 河野禮通)

上告人の上告理由

○上告状記載の上告理由

第一点 民法に元ずく民事裁判で一方の国のみが行政法における税法を適用して、民事裁判の証拠の収集は憲法で定める、行政、民事分離の原則に反するのは明白であり、この行為は憲法違反は明らかである。

第二点 民法に元ずつ民事裁判で法務大臣が国税調査官を起用して裁判上の相手の税務調査を命令するのは権限外による越権行為であり職権の乱用は明らかで憲法違反は明白である。

第三点 そうした国税調査官が税法二三四条を起用して収集した資料を何の決済の目的もないままに民事法廷において開示すれば守秘義務違反による秘密漏洩罪は明らかである。

第四点 第一審の判決、第二審の判決、共に上告人の請求と主張に対して何の判決も無い、これは明らかに民事訴訟法第三九五条第六項に抵触する事は明らかである。

以上

○上告理由書記載の上告理由

第1点 裁判史上 民事法による民事裁判で其の一方のみが公権力を行使し行政法による税法を起用して証拠を収集した例は無い。

民事事件は民事訴訟法上での手続きによって審理を行うのであるから、民事訴訟法上で証拠を収集すべきである。

すなわち双方共に公平な立場で争う事を前提としている。だからこそ其の罪に憲法第十四条で、法の下での平等を規定している。

これは相手が国であろうと個人であろうと、その区別は無い筈である。まして憲法十一条には国が基本的人権を侵さない事を保障している。しかし、被上告人〈1〉側の石倉正光は自らの陳述書の中で言っている。「訟務官は所得税法第二三四条を使う権利を付記されている」として証拠を集めたと言う。この事は権利の侵害以外の他なにものでも無い。

検事の訟務官も準備書面の中で言っている「訟務官は所得税法第二三四条の税務調査権が付記されている」と述べている。しかし民事訴訟法の何処に税法二三四条が付記されていると書いてあるのか、所得税法第二三四条(以後二三四条という)を使えば公務そのものである。この二三四条は相手に対して強制権を持つ質問検査権であり、反対すれば罰則も伴うから間接強制調査とよばれる。この二三四条の強制権の判断は既に最高裁判所で決定している(別紙1)

この判例の中にハッキリと明確に明文化されている(別紙1B)赤書「……又其質問検査が、時と場所と方法において納税義務者等の権益を不当に侵犯する恐れのあるものであっては成らない。」とある。この最高裁判所の判例は税務署側と納税者側の双方から観ても正しい。これは(昭和四八年七月十日の最高裁判所)の決定で完成したものである。この裁判は刑事裁判であるが所得税法第二三四条の質問検査権の有り方を公平に裁判史上において明確に位置づけたものである。

この判例からすると本事件のごとく民事裁判の証拠の収集に質問検査権等は論外である。その上に相手に対し正確に質問検査権の趣旨を告げて無い。只税務調査と言っただけであるから、これは偽の税務調査である事は明白である。

すなわち民事訴訟法上の裁判の資料の収集においても相手に、民事裁判の資料にするからとハッキリ告げずして只いきなり税務調査であるから資料を出す様に言えば、受けている相手は、もしこいつ等の言う事を聞かなければ面倒な事に巻き込まれる恐れがあると考えるのが普通である。当事件の被上告人2の渡部先生にしても被上告人〈1〉が「最初から民事訴訟の資料にするから、河野(上告人)に関する資料を教えろ」と言われたならば「決して客の資料などは教えないし、まして他人の民事裁判等に参加する様な事はしなかった」と被上告人2の準備書面の中で言っている。

そこで問題は被上告人〈1〉は事実を告げずして、この税法二三四条を使ったという事実が判明した。つまり民事裁判で強制権を駆使し被上告人2をだまして資料を得たと言う事である。

すなわち被上告人〈1〉の行為は非社会的であり公共の福祉に反するのは歴然としている。これは当たり前である。なにしろ嘘をつきて公権力を用い司法書士を民事訴訟にむりやり巻き込んでいるのであるから被上告人〈1〉の行為は反社会的と言うべきであり違法そのものである。

第2点 (上告人の過去において違法の無の事実)

ここで問題は、上告人が支払うべき税金を1円たりともごまかしていなかった、という事である。この件に関しては第1審控訴審共に認めている。要点は上告人が反社会的行為をしているのであれば被上告人〈1〉である国税局とか法務省が其れ等を実証する為に税法二三四条を使用しての調査であるならば、たとえそれが民事裁判上であってもそれは許されるべき行為である事は上告人は重々承知している。今回は其の逆である事が重要なのである。

上告人が税務調査を受けた事は認める。しかし税務調査の結果上告人が税金を二百三十円余払い過ぎていた。それが災いとなり税務署側は何とか理由をこじつけて還付金を返還せずに済むべく画策し上告人が提出した平成3年度の確定申告書を隠匿隠蔽し、さも上告人が脱税をしているが如くに処分をしたが、上告人が確定申告書の控えを所持していた為に税務署の犯罪が露見した事実がある(別紙2参照)。この件については国税審判所から神奈川県警察本部に確定申告書の鑑定を依頼する等をして、税務署の係官を問い詰めて、係官が税務署の保管庫から上告人の確定申告書を盗み出して廃棄棄却をしたのを自白させたのである(別紙3)。その原因は上告人に返済すべき還付金を横領するのが目的であるとの国税不服審判所の説明である。しかし其の後、6年余が経過するが未だにその還付金の返済が無い。言い換えれば上告人に返す手続きが出来ないのである。その報告を受けた国税局は、何とか其の手続きを正当なものにすべく今回の事件となったものであるが、結果論として上告人と被上告人〈1〉のどっちが反社会的な行為かである。すでに犯罪実行者は確定している現在においてでは言うまでの事では無い。

第3点 次に別の角度から被上告人〈1〉の行為を判断すると、

第一審及び控訴審の東京高等裁判所共に大蔵事務官の石倉正光を国税局の主体であるから税務調査は適法と言う。これはおかしい?正規の税務調査で税法二三四条を起用して情報を収集しまだ何の処分もなく決済も無い時点において税務調査で得た情報を3日後に民事法廷において情報を開示すれば、守秘義務違反による秘密漏洩罪そのものである被上告人〈1〉が言い訳をする余地などどこにも無い。この時点で所得税法第二四三条が成立する。共に国家公務員法の第百条の秘密漏洩罪が完成する。この時、この石倉なる者が法務大臣大理権を得ていようと、いまいと何の関係も無い。法務大臣大理が犯罪を侵しても良いという条文など何処にも無い。

ここで確認をする。民事裁判の代理主体は(別紙4)の通り池本検事である。民事裁判で検事が所得税法を使う命令等が出来る訳が無い。(注・処分の取消し等の行政訴訟の様な場合は検事以外の者でも主体となりうるが、民事裁判の代理主体は(別紙4)の通り池本検事であるか又は署名捺印のある全員である。都合の良い者だけが主体では無い)

第4点 (第一審と控訴審の事実の誤認について)

当、最高裁判所が事実に基づく真偽を行わないのは充分承知であるが、控訴上における東京高等裁判所の判断の誤りは訂正する。

上告人が損害が発生したから提起したものであり、損害が発生して無ければ裁判などは無い。その事は被上告人〈1〉はもとより一審の裁判官も知っている。知っているから2年間も裁判を続けたのでも解る。

判決文に「原処分庁が減額処分をした」としているが、その様な処分が何処にあるのが、処分をして減額など何処に発生するのか?上告人には1円の減額も無いし1円の還付金も受けて無い事は先に述べた通りである。高等裁判所が理屈に合わない事を言うべきで無い。

第5点 (上告人の受けた損害について)

上告人が被上告人〈1〉の違法行為によって別訴訟である(横浜地方裁判所平成5年ワ一三一六号事件を担当した裁判官の判断を誤認させて上告人に対して返済すべき還付金返済を未実行にさせ更に処分に対して抗告出来ない様にさせた事実に基づき上告人が損害をこうむった事柄をもって証明する。損害発生金は(別紙5)の通りである。これらの被上告人等の行為は憲法第三十二条に反する事は明白である。

第6点 さて被上告人《2》に対する違法分であるが、先に述べた通り、国税局から正当な理由も言わずに強制的に情報を強要された事は被上告人《2》の準備書面でも明らかであり上告人も認める所であるが、かりそめにも客の財産の秘密を知る職業に携わる者として、相手の身分、関係及び自らが知る情報が何に使われるのか、確かめるべきである。

被上告人〈1〉の石倉正光は、被上告人《2》のもつ情報より司法書士として名前を利用しただけである。すなわち情報の内容は「最初から知っていた」と石倉正光が述べている。知っているなら聞く必要など無いではないか?要するに司法書士の名を利用しただけである。では何故渡部司法書士は相手の身分と所属の確認をしなかったのかである。この時点で相手の身分証明すら確認して無い。この場合たとえ一言であろうと客の情報を電話などで漏らす等は論外である。その為にこその司法書士法第十一条がある。よって上告人は其の確認を怠った責任を問うものである。繰返すが被上告人2は、「、何故確認しなかったのか。」この時に確認をしていれば、渡部司法書司は次の様に反論したと推察する「そんな調査は今の民事裁判でやらなくても、先で行政裁判が起きた時に今一度聞きに来い。行政裁判上なら何を言っても客から非難されたり報復を受ける事も無いから出直せ、民事裁判でそんな事を聞きに来るな。」と言った筈である。又基礎知識があれば、確認する方法はいくらでもある(上告人に電話で事実確認をする等である)確認をしなかった事は結論的には司法書士法第十一条に抵触する事に繋がっていき違法事実として完成される。

よって上告人は司法書士としての資格での軽率さを問うものであり又、その軽率さの為に上告人が損害を受けた事実に基ずき損害を請求する(民法第七〇九条)。

第7点 第一審、及び控訴審裁判所において事実の誤解がある。

最後に下級裁判所の判断が判例と矛盾する違法な事実を指摘する。

被告1は本件の事件に鑑み、広島高等裁判所昭和六十三年五月三十日の判決で国税訟務官室職員は「税法での…当該職員」に該当する。としているが、(別紙6号)この広島高等裁判所の判例は行政訴訟法での取消の裁判判例である。(別紙7号)

行政裁判で国税訟務官が税法を摘要し当該職員としての権限を有するのは当たり前である。

しかし上告人との裁判は行政裁判でも無ければ、処分の取消しでも無い。単なる当事者の争いである。

第一審も控訴裁判所も民事裁判に行政法上の判例を摘要したのは(別紙1)での最高裁判所の判例に矛盾する。

以上いずれの点からしても第一審、控訴審の原判決は違法であり破棄されるべきである。

以上

(添付書類省略)

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